実の父が直面した業界の現状を知った時のことです。一般的な特養(特別養護老人ホーム)では入所待機も多く、私自身も親族を医療機関に入れることにやや心理的な抵抗があり、もっと高齢者が安心して、触れ合いながら過ごせる空間があれば、と思い介護のFCビジネスに注目しました。私の本業は経営コンサルタントなのですが、当然FCオーナーのクライアントも数多くいます。また、コンサルタント以外の事業としては配食や飲食などのビジネスも手掛けており、そういったFCビジネスに関するノウハウを活かしながら、樹楽のオーナーとして事業所を運営することを決意しました。
数ある介護FCオーナー募集広告の中から樹楽を選んだのは、実は、その当時は樹楽がまだ全国に拡大していない規模であったというのが大きな理由です。大手であれば運営の地盤やノウハウは確かに固まっていますが、マニュアル化された指導に従わなければならなかったり、個々の適切なサポートを受けられないなどのデメリットもあります。施設数が少ない状態からの開所であれば、本部のサポートも親切だろう、という動機でしたね。ですが、樹楽本部は今の規模になっても変わらず物件探しから一緒にサポートしてくれており、非常にありがたいです。
例えば、「新しい施設を立ち上げたい」と言った時に、樹楽の開発担当者が物件を探してきてくれた時はとても助かりました。弊社には他の介護フランチャイズで管理者をしていた者もいるのですが、他FCでは「用地はどこですか?準備はできていますか?」だけで、結局自分で探すしかなかった、という事もあったようです。他にも本部が請求代行をしてくれているのも、非常に負担軽減になりますね。当時は「小規模だからサポートしてくれる」と思っていましたが、今でも変わらずに手厚いサポートを受けられるのは大きいです。
介護ビジネスにおいて単に「利益の追求」というと、原価を下げてサービスの質を低くすることなのではないか、と思われがちですが、私はあえて、本当の意味で介護ビジネスを成功させるには、「利益の追求」こそが重要であると考えています。
まずは、何としてでも利益を上げる。そうすれば、結果的にサービスの向上に繋がります。
最近の例では、機能訓練士の契約を1日2時間から、1日5時間に延長するという取り組みを行いました。当然、その時だけを見ると契約している機能訓練士への支払いは増えるので、利益は下がってしまいます。ですが、実際に契約を延長してから、ケアマネージャーやご親族に「前よりも元気になったように思う」と喜んで頂いて信頼につながり、地域の評判が上がることで集客にも繋がりました。結果、集客面での効果が売上向上に繋がり、社員に研修を受けさせるなどの資本の余裕ができ、社員のモチベーション向上と、サービス品質の向上にも繋がる。モチベーションが向上すれば、離職率も下がるので当然求人広告費も抑えることができる。
好循環を繰り返せば、当然利益も増えていくという、経営的にしごく当然の考え方です。
設備や在庫のコントロールがいらず、原価予測が立てやすい介護ビジネスは、こういった経営目線で行えば必ず成功に繋げることが出来ると考えています。常に求人広告を出し続けている施設などを目にすると、今の介護業界に本当に必要なのは介護経験が豊富な人材ではなく、こういった「利益追求のための経営モデルを考える」ことが出来る管理者を育てることだとさえ思いますね。
「本当に成功する、質の高い介護ビジネス」として樹楽をもっと展開していきたいと思います。
介護事業においては、年々運営管理の厳しさが増しています。ただ、それとは逆に人口の高齢化は加速し、大きな社会問題のひとつとして取り上げられるようになりました。場合によっては、まだこの事を主観的にイメージできない世代もあるかもしれません。ただ、これって実はすごくシンプルな問題だと思うんです。それは「もしも自分の親だったら―。」と考えてみること。誰だって大切な両親を静かな病室や暗い施設に入れたくないでしょう?ただそれだけのことです。だから私は、樹楽のお泊まりデイサービスの認知度を上げることで、今の世の中に最も必要なビジネスモデルであることを証明したいと考えています。もちろん利用者にとって一番安心できるのはご自宅であるべきですが、樹楽をもう一つの住まいのように安心して過ごしていただけるよう、これからも利益を生み出す経営を大切にしていきます。